いじめとは何か

いじめの基本
いじめ防止対策推進法に基づく解説

「いじめ」と聞くと、暴力や無視、悪口などを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、法律上のいじめは、加害者側のつもりや行為の大きさだけで判断されるものではありません。重要なのは、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているかどうかです。

  • いじめ防止対策推進法
  • 法律上のいじめ
  • 学校対応
  • 内容証明郵便
  • 告訴状
この記事を書いた人
行政書士 大倉雄偉

私は行政書士として、いじめ問題を専門分野の一つとし、年間150件以上のご相談をいただいています。学校内でのいじめ、不登校、SNSいじめ、嫌がらせなど、お子様や保護者の方が抱えるさまざまな問題について、法的文書の作成を通じて解決をサポートしています。

特に内容証明郵便の作成・送付を得意としており、学校への要望書や通知書、警告書など、状況に応じた書面を数多く作成してきました。また、学校や顧問教諭等との合意書、加害者側との示談書、警察へ提出する報告書や告訴状などの作成にも対応しています。

いじめ問題では、感情的な訴えだけでは十分に状況が伝わらないことがあります。そのため、事実関係を時系列で整理し、証拠を踏まえた客観的な文書を作成することで、学校や教育委員会、警察などの関係機関に対して適切に意思を伝えられるよう努めています。

一つひとつのご相談に真摯に向き合い、お子様の安全と安心を第一に考えながら、問題の早期解決と再発防止を目指してサポートしています。

法律上のいじめの定義

いじめ防止対策推進法では、いじめを、児童生徒に対して、一定の人的関係にある他の児童生徒が行う、心理的又は物理的な影響を与える行為であって、その対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものと定義しています。

つまり、いじめに当たるかどうかは、「相手に悪意があったか」「冗談のつもりだったか」「一回だけだったか」だけで判断されるものではありません。

人的関係がある

同じ学校、同じクラス、部活動、塾、地域など、関係性のある児童生徒間で起こる行為です。

心理的・物理的影響

暴力だけでなく、悪口、無視、仲間外れ、SNS上の嫌がらせなども含まれます。

心身の苦痛

対象となった児童生徒が苦痛を感じているかどうかが重要な判断要素です。

いじめの判断では、加害者側の認識よりも、被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じているかどうかが重要です。

いじめは暴力だけではない

いじめというと、殴る、蹴る、物を壊すといった行為を想像されることがあります。しかし、法律上は、心理的な影響を与える行為もいじめに含まれます。

言葉によるいじめ

悪口、からかい、脅し文句、嫌なあだ名、人格を傷つける発言など。

人間関係上のいじめ

無視、仲間外れ、集団で避ける行為、遊びに入れない行為など。

物理的ないじめ

暴力、物を隠す、壊す、ぶつかる、持ち物を勝手に使う行為など。

よく見られるいじめの例

  • 悪口や嫌なあだ名を繰り返し言われる
  • 話しかけても無視される
  • 遊びや班活動から外される
  • 持ち物を隠される、壊される
  • 嫌な役割を押し付けられる
  • SNSやLINEで悪口を書かれる

「子ども同士のトラブル」「一時的なけんか」と見える場合でも、特定の児童生徒が継続的に苦痛を受けている場合には、いじめとして慎重に対応する必要があります。

インターネット上のいじめも含まれる

いじめ防止対策推進法の定義では、インターネットを通じて行われるものもいじめに含まれます。

LINE、SNS、掲示板、動画投稿サイト、オンラインゲーム、匿名アカウントなどを利用した悪口、画像の拡散、なりすまし、仲間外れ、嫌がらせなども、いじめとして扱われる可能性があります。

LINE・SNS

グループ外し、悪口、既読無視の強要、スクリーンショットの拡散など。

画像・動画

本人の許可なく写真や動画を投稿、拡散、加工する行為など。

匿名アカウント

匿名での誹謗中傷、なりすまし、嫌がらせ投稿など。

ネット上のいじめは、投稿の削除やアカウント変更により証拠が消えることがあります。画面のスクリーンショット、URL、日時、アカウント名などを早めに保存しておくことが重要です。

学校が行うべき対応

学校は、いじめ防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理・福祉等の専門家、その他の関係者で構成される組織を置くこととされています。

いじめ防止対策推進法第22条
学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとされています。

個別のいじめに対しては、学校が組織として対応し、事実確認、学校の設置者への報告、被害児童生徒や保護者への支援、加害児童生徒への指導、保護者への助言などを行うことが求められます。

事実確認

被害児童生徒、関係児童生徒、目撃者などから事情を確認します。

被害者支援

安全確保、見守り、保護者への説明、学校生活の支援を行います。

加害者指導

行為の問題性を理解させ、再発防止に向けた指導を行います。

いじめに対する学校の措置

いじめ防止対策推進法第23条第2項
学校は、いじめの事実があると思われるときは、速やかに、いじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を学校の設置者に報告するものとされています。

いじめ防止対策推進法第23条第3項
学校は、いじめがあったことが確認された場合、いじめをやめさせ、再発防止のため、いじめを受けた児童生徒又はその保護者に対する支援、いじめを行った児童生徒に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとされています。

いじめ防止対策推進法第23条第4項
学校は、必要があると認めるときは、いじめを行った児童生徒について、いじめを受けた児童生徒が使用する教室以外の場所で学習を行わせるなど、被害児童生徒等が安心して教育を受けられるようにするため必要な措置を講ずるものとされています。

いじめ防止対策推進法第23条第5項
学校は、支援、指導又は助言を行うに当たり、被害児童生徒の保護者と加害児童生徒の保護者との間で争いが起きないよう、いじめ事案に係る情報を保護者と共有するための措置その他必要な措置を講ずるものとされています。

いじめ防止対策推進法第23条第6項
学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは、所轄警察署と連携して対処するものとされています。また、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求めなければならないとされています。

学校に確認したい対応内容

  1. いじめの事実確認
    いつ、誰に、どのような聞き取りを行うのかを確認します。
  2. 学校の設置者への報告
    必要に応じて教育委員会等への報告状況を確認します。
  3. 被害児童生徒への支援
    見守り、席替え、登下校時の配慮、相談体制などを確認します。
  4. 加害児童生徒への指導
    指導内容、保護者への連絡、再発防止策を確認します。
  5. 保護者間の情報共有
    被害側と加害側の保護者間で争いが拡大しないよう、学校がどのように情報共有を行うのかを確認します。
  6. 警察との連携
    暴行、傷害、脅迫、恐喝、名誉毀損、侮辱、器物損壊など、犯罪行為に当たる可能性がある場合は、警察との連携状況を確認します。

学校から「様子を見ます」と言われた場合でも、誰が、いつ、どの場面を確認するのか、保護者へいつ報告するのかを具体的に確認することが大切です。条文上も、学校には単なる見守りだけではなく、事実確認、報告、支援、指導、再発防止、必要に応じた警察連携が求められています。

重大事態とは何か

いじめ防止対策推進法では、通常のいじめ対応とは別に、「重大事態」が発生した場合には、学校や学校設置者に対して特別な調査義務が課されています。

「重大事態」とは、単に学校側が重大と判断した場合だけではありません。法律では、一定の要件に該当する場合には重大事態として対応することが求められています。

いじめ防止対策推進法第28条第1項
学校の設置者又は学校は、いじめにより児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがある場合、又は相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合には、重大事態として速やかに調査を行うものとされています。

生命・心身への重大被害

自傷行為、精神的な不調、PTSD、強い恐怖や不安、診断書が作成されている場合などが考えられます。

財産への重大被害

持ち物の破壊、高額な物品の損壊、金銭要求、恐喝など、財産に重大な被害が生じた場合です。

相当期間の欠席

いじめを理由として長期間学校を欠席している場合や、不登校となっている場合が該当する可能性があります。

重大事態では何が行われるのか

重大事態に該当する場合には、通常の学校対応だけではなく、事実関係を明確にするための調査が行われます。この調査は、原因や経過を客観的に確認し、再発防止につなげることを目的としています。

事実関係の調査

被害児童生徒、加害児童生徒、教職員、関係者などから幅広く事情を確認します。

原因の分析

いじめが発生した経緯や学校の対応状況などを調査し、再発防止策を検討します。

再発防止

学校全体として再発を防止するための具体的な改善策が検討されます。

いじめ防止対策推進法第28条第2項
学校の設置者又は学校は、重大事態に係る調査を行ったときは、その結果をいじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、適切に情報提供するものとされています。

保護者が確認しておきたいポイント

  1. 重大事態として扱うか確認する
    学校が重大事態として認識しているか、その判断理由を確認します。
  2. 調査主体を確認する
    学校が調査するのか、学校設置者(教育委員会等)が調査するのかを確認します。
  3. 調査方法を確認する
    誰から事情を聴き、どのような資料を確認する予定なのかを確認します。
  4. 情報提供を求める
    調査結果や今後の対応について、どのように保護者へ説明されるのかを確認します。
  5. 再発防止策を確認する
    調査後、学校がどのような改善策を講じる予定なのかを確認します。

重大事態は、学校側が「いじめではない」と考えている場合でも直ちに否定されるものではありません。不登校、精神的な不調、診断書の取得などがある場合には、重大事態に該当する可能性があるため、学校へ慎重な確認を求めることが重要です。

行政書士からのポイント
重大事態となる可能性がある場合は、学校へ相談した内容、学校からの回答、診断書、欠席状況、LINEやSNSなどの証拠を時系列で整理しておくことをおすすめします。後日の調査や要望書の作成において、重要な資料となります。

保護者が整理しておくべきこと

いじめ問題では、感情的に学校へ訴えるだけでは、事実関係が十分に伝わらないことがあります。学校に対応を求める場合は、事実と要望を分けて整理することが重要です。

事実関係

日時、場所、相手、行為の内容、目撃者、繰り返しの有無を整理します。

子どもの変化

体調不良、登校しぶり、不安、睡眠、食欲、発言の変化を記録します。

学校対応

相談日時、相談相手、学校側の回答、今後の対応方針を残します。

整理しておきたい資料

  • いじめがあった日時、場所、関係者
  • 具体的な発言や行為の内容
  • 子どもの心身の変化
  • 欠席、遅刻、早退、不登校の状況
  • LINE、SNS、写真、動画、録音などの資料
  • 学校へ相談した日時と対応内容
  • 学校側からの説明や回答内容

保護者の方は、お子様から聞いた内容を記憶だけで学校へ伝えるのではなく、日付ごとに時系列で整理しておくことをおすすめします。経緯書や要望書を作成する際にも、重要な資料になります。

行政書士にできるサポート

行政書士は、いじめに関する事実関係を整理し、学校や関係機関に提出するための書面作成をサポートできます。

いじめ問題では、感情的な訴えだけでは十分に伝わらないことがあります。事実関係、証拠資料、学校に求める対応を整理し、文書として明確に示すことが重要です。

経緯書作成

いじめの発生から現在までの流れを時系列で整理します。

学校への要望書

調査、支援、再発防止策、報告方法などを求める内容を整理します。

内容証明郵便

相手方や関係者に対し、通知書・警告書を送付する場合に活用します。

合意書作成

学校や関係者との話し合い内容、再発防止策、今後の対応を文書化します。

示談書作成

加害者側との謝罪、損害補填、接触禁止、再発防止などを整理します。

告訴状作成

加害者が14歳以上で、犯罪行為が疑われる場合の告訴状作成を支援します。

内容証明郵便による通知・警告

いじめの内容や相手方の対応によっては、内容証明郵便により、通知書や警告書を送付することがあります。内容証明郵便は、いつ、誰に、どのような内容の文書を送付したのかを記録に残す方法です。

ただし、いじめ問題では、いきなり相手方へ強い文書を送ることが適切とは限りません。学校対応、事実関係、証拠の有無、相手方との関係を踏まえ、慎重に検討する必要があります。

告訴状作成のサポート

いじめの内容が暴行、傷害、脅迫、恐喝、名誉毀損、侮辱、器物損壊などの犯罪行為に当たる可能性がある場合、警察への相談や告訴を検討することがあります。

加害者が14歳以上の場合には、事案に応じて告訴状の作成を検討できる場合があります。もっとも、刑事事件への対応は慎重な判断が必要となるため、事実関係、証拠、被害状況を整理したうえで進めることが重要です。

行政書士が対応できる範囲は、書面作成や事実整理が中心です。代理交渉や法的紛争性の高い対応については、弁護士への相談が必要となる場合があります。

よくある質問

相手が「冗談だった」と言えば、いじめではなくなりますか。

いいえ。いじめに当たるかどうかは、相手の言い分だけで決まるものではありません。対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているかどうかが重要です。

一回だけの行為でも、いじめになりますか。

一回だけであっても、児童生徒が心身の苦痛を感じていれば、いじめとして問題になる可能性があります。

SNSでの悪口もいじめになりますか。

はい。法律上、インターネットを通じて行われるものもいじめに含まれます。投稿内容、日時、URL、アカウント名などを保存しておくことが重要です。

学校に相談する前に準備すべきことはありますか。

いつ、どこで、誰から、どのような行為を受けたのかを時系列で整理し、証拠となる資料を保存しておくことが重要です。

学校が対応してくれない場合はどうすればよいですか。

相談日時、学校側の回答、対応状況を記録し、必要に応じて要望書や通知書により、正式に対応を求めることが考えられます。

内容証明郵便を送ることはできますか。

事案に応じて、通知書や警告書を内容証明郵便で送付することがあります。ただし、学校対応や事実関係を踏まえて慎重に検討する必要があります。

加害者が14歳以上の場合、告訴状は作成できますか。

暴行、傷害、脅迫、恐喝、名誉毀損、侮辱、器物損壊などの犯罪行為が疑われる場合、事案に応じて告訴状作成のサポートを検討できます。

行政書士にはどこまで相談できますか。

経緯書、要望書、通知書、内容証明郵便、合意書、示談書、警察提出用の報告書、告訴状などの文書作成についてご相談いただけます。

いじめ問題は早期の整理が重要です

いじめ問題では、早い段階で事実を整理しておくことが、その後の学校対応や再発防止につながります。

お子様の話、学校への相談内容、証拠資料、心身の変化を整理しておくことで、学校や関係機関に対して、必要な対応を求めやすくなります。

一人で抱え込まず、まずは現在の状況を整理することから始めてください。必要に応じて、行政書士が文書作成を通じてサポートします。

いじめ問題を一人で抱え込まないでください

いじめの経緯整理、学校への要望書、通知書、内容証明郵便、合意書、示談書、警察提出用の報告書、告訴状などについて、現在の状況をお聞かせください。

※ご相談内容を確認のうえ、行政書士業務・探偵業務の範囲を明確にしたうえで対応いたします。

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