いじめを受けた子どもの保護者が、加害児童生徒の保護者との話し合いを希望した場合、学校はその要望を一律に拒否するのではなく、被害児童生徒の安全と意向を最優先に、話し合いを実施できるか具体的に検討すべきです。本記事では、いじめ防止対策推進法との関係、学校に求められる対応、話し合いの場で教員が果たすべき役割について解説します。
被害者側が希望する場合は話し合いを検討すべき
いじめの被害を受けた子どもの保護者が、加害児童生徒の保護者に事実を知ってもらいたい、謝罪を受けたい、再発防止について確認したいと希望することがあります。
このような要望が出された場合、学校は「保護者同士の問題には関与できません」「学校は保護者同士を会わせません」と一律に拒否するべきではありません。
いじめは、単なる子ども同士のけんかではありません。学校には、いじめを受けた児童生徒の安全を確保し、いじめを行った児童生徒に対して適切な指導を行い、保護者と連携しながら再発を防止する責務があります。
そのため、被害者側から保護者間の話し合いを求められたときは、被害児童生徒の心身の状態、本人の意向、いじめの内容、加害者側の認識、保護者間の関係などを確認したうえで、学校が同席する話し合いを実施できるか検討することが望まれます。
保護者同士を無条件に直接会わせればよいわけではありません。被害児童生徒の安全を損なう可能性がある場合や、加害者側が事実を否定して激しく対立している場合には、学校が個別に説明する方法や、教育委員会を交えた方法なども検討する必要があります。
いじめ防止対策推進法の内容
いじめ防止対策推進法は、いじめが児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の健全な成長や人格形成に重大な影響を与えるだけでなく、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあることを踏まえて制定された法律です。
法律上の「いじめ」の定義
同法第2条では、一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、その対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものを「いじめ」と定義しています。
したがって、加害児童生徒やその保護者が「悪気はなかった」「遊びのつもりだった」と説明していても、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていれば、法律上のいじめに該当する可能性があります。いじめの認定に、加害者側のいじめる意思や故意が必須とされているわけではありません。
学校と教職員の責務
同法第8条は、学校及び学校の教職員に対し、保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りながら、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むことを求めています。
また、児童生徒がいじめを受けていると思われるときは、学校及び教職員が適切かつ迅速に対処する責務を負うと定めています。
いじめを認知した後の対応
同法第23条では、教職員がいじめの相談を受けた場合や、いじめの事実があると思われる場合には、速やかに学校いじめ対策組織へ報告し、学校が組織的に事実確認を行うことを求めています。
いじめの事実が確認された場合、学校は、いじめをやめさせ、再発を防止するため、被害児童生徒とその保護者に対する支援を行うとともに、加害児童生徒に対する指導及びその保護者に対する助言を継続的に行わなければなりません。
必要があると認める場合には、加害児童生徒を別の場所で学習させるなど、被害児童生徒が安心して教育を受けられるようにするための措置を講じることも定められています。
保護者にも協力が求められている
同法第9条第1項は、保護者に対し、その子どもがいじめを行うことのないよう、規範意識を養うための指導その他必要な指導を行うよう努めることを求めています。
また、同条第3項は、保護者が、国、地方公共団体、学校の設置者及び学校が講じるいじめ防止等の措置に協力するよう努めるものと定めています。
いじめを早期に発見し、適切かつ迅速に対処する責務があります。
加害児童生徒への指導と、その保護者への助言を継続して行います。
学校が行ういじめ防止措置に協力するよう努めることが求められています。
「話し合いの場を設けること」は法的義務か
いじめ防止対策推進法には、被害児童生徒の保護者から求められた場合に、学校が必ず加害児童生徒の保護者との面談を設定しなければならない、という直接的な規定はありません。
したがって、保護者間の話し合いを設定すること自体を、直ちに法律上の絶対的義務と説明することは適切ではありません。
一方で、同法は、学校に対して、被害児童生徒とその保護者への支援、加害児童生徒への指導、加害者側保護者への助言、関係者との連携及び再発防止措置を求めています。
また、保護者には、学校が講じるいじめ防止措置に協力する努力義務が課されています。加害者側の保護者が、学校から説明や協力を求められた場合に、子どもの問題だから関係ないとして一切の対応を拒むことは、法律の趣旨に沿ったものとはいえません。
努力義務とは、違反しただけで直ちに刑罰や行政処分が科される義務ではありません。しかし、単なる希望や任意の配慮ではなく、法律が一定の行動をするよう求めているものです。保護者には、学校のいじめ対応に誠実に協力する姿勢が求められます。
学校が保護者間の話し合いを設定することについても、個別事情を踏まえて安全かつ有効に実施できるのであれば、被害者側の希望を尊重し、実現に向けて調整することが望ましい対応と考えられます。
ただし、話し合いを実施することによって被害者がさらに傷つく可能性がある場合、保護者間の激しい対立が予想される場合、事実確認が未了である場合などには、学校が別々に説明する方法を選択することもあります。
学校が話し合いを実施しないと判断した場合には、単に「できません」と回答するのではなく、実施しない具体的な理由と、話し合いに代えてどのような方法で被害者側の要望に対応するのかを説明することが必要です。
保護者間の話し合いを行う目的

保護者間の話し合いは、被害者側と加害者側を形式的に対面させることが目的ではありません。被害児童生徒の安全を確保し、いじめを終わらせ、同じ行為を繰り返させないことが中心的な目的です。
学校が確認した行為、時期、場所、被害の内容などを双方の保護者に共有します。
加害者側に、被害児童生徒が受けた心身の苦痛や学校生活への影響を理解してもらいます。
加害行為を止めるため、学校と家庭が具体的に何をするのか確認します。
事実を認めている行為について、加害者側が被害者側に謝罪する機会となります。
双方の認識が異なる部分と、既に確認できている事実を整理します。
接触方法、見守り、座席、部活動、登下校などの具体的な対応を定めます。
特に重要なのは、話し合いの目的を「仲直り」に限定しないことです。被害児童生徒が加害児童生徒との関係修復を望んでいない場合、無理に握手や仲直りをさせるべきではありません。
被害児童生徒にとって必要なのは、再び安心して学校生活を送れる環境です。関係修復よりも、接触を避けること、一定の距離を保つこと、教職員による見守りを継続することが適切な場合もあります。
話し合いを実施するための条件
保護者間の話し合いを実施する前に、学校は少なくとも次の事項を確認する必要があります。
- 被害児童生徒本人が話し合いの実施を望んでいるか
- 本人が対面を望まない場合、その意向が尊重されているか
- 学校が必要な事実確認を終えているか
- 学校として、確認できた事実と未確認事項を整理しているか
- 加害者側保護者に話し合いの目的を事前に説明しているか
- 話し合いによって被害者側が責められる危険がないか
- 保護者間で威圧、暴言、脅迫などが行われるおそれがないか
- 管理職や学校いじめ対策組織の構成員が同席できるか
- 発言内容と合意事項を記録できる体制があるか
- 話し合い後の再発防止措置が準備されているか
被害児童生徒の心身の状態が不安定な場合には、本人を話し合いに出席させる必要はありません。保護者のみが出席し、学校が本人の意向や被害内容を代わりに説明する方法もあります。
また、加害児童生徒本人を同席させるかどうかについても、慎重な判断が必要です。謝罪を急ぐあまり、被害児童生徒に加害者との対面を強制することは避けなければなりません。
話し合いの場で先生がするべき行動

保護者間の話し合いを実施する場合、教員は単なる場所の提供者や傍観者であってはいけません。学校がいじめ対応の主体として、進行、事実整理、安全確保及び再発防止の確認を行う必要があります。
1.話し合いの目的を最初に説明する
話し合いの冒頭では、司会を担当する教員又は管理職が、話し合いの目的を明確に説明します。
「本日の話し合いは、どちらの保護者が正しいかを争うためのものではありません。学校が確認した事実を共有し、被害を受けた児童生徒が安心して学校生活を送れるようにすること、同じ行為を繰り返さないための対応を確認することを目的としています。」
目的を明確にせず自由に発言させると、保護者同士の責任追及や感情的な言い争いに発展する可能性があります。
2.学校が確認した事実を具体的に説明する
先生は、「トラブルがありました」「行き違いがありました」などの曖昧な表現だけで終わらせてはいけません。
いつ、どこで、誰が、どのような行為を行ったのか、学校が何を確認したのかを具体的に説明します。
- 発生した日時と場所
- 確認された発言や行動
- 行為を見聞きした児童生徒や教職員の有無
- 被害児童生徒が受けた心身の苦痛
- 欠席、早退、保健室利用、成績低下などの影響
- 学校が既に行った指導や安全確保措置
- 確認できていない事項
確認済みの事実と、当事者の主張が分かれている事項を区別して説明することが重要です。
3.いじめに該当する行為を曖昧にしない
学校が、特定の行為についていじめに当たると判断したのであれば、その判断を明確に伝える必要があります。
加害者側への配慮を優先して、「お互い様です」「どちらにも原因があります」「子ども同士のけんかです」と安易にまとめると、被害児童生徒とその保護者に二次的な苦痛を与える可能性があります。
被害児童生徒に言い返しや抵抗があったとしても、それだけで継続的な嫌がらせ、暴力、仲間外し、侮辱、物品の隠匿などが正当化されるものではありません。
4.被害者側の話を遮らずに聴く
被害者側の保護者は、学校が把握していない事実、家庭での子どもの様子、睡眠や食事への影響、登校への不安などを説明することがあります。
先生は、話が長い、感情的であるなどの理由で途中から発言を遮るのではなく、まずは具体的な内容を聴き取る必要があります。文部科学省の資料でも、保護者と話をする際には、直接会って話を聴き、当初は保護者の話を丁寧に聴くことが示されています。
ただし、侮辱、威圧、脅迫など、話し合いの目的を逸脱する発言があった場合には、司会者として制止する必要があります。
5.加害者側に事実を認めるか確認する
学校が確認した事実を説明した後、加害者側に対し、どの事実を認め、どの部分について認識が異なるのかを確認します。
「全部やっていません」「証拠がありません」といった抽象的な回答だけで終わらせず、行為ごとに確認することが大切です。
「学校では、○月○日に教室で『○○』という発言があったことを複数の児童から確認しています。この発言があったことについて、どのように認識されていますか。」
6.認めている事実について謝罪を促す
加害児童生徒やその保護者が、いじめに該当する行為を認めているにもかかわらず、話し合いの場で一切謝罪をしないことがあります。
このような場合、教員が何も働きかけず、ただ双方の発言を聞いて終了するだけでは、被害者側にとって納得できる話し合いにはなりません。
少なくとも、確認され、加害者側も認めている行為については、教員から加害児童生徒及びその保護者に対し、被害を受けた側の気持ちを考え、謝罪を含めてどのように責任を示すのか考えるよう促すことが望まれます。
ただし、形式的に「謝りなさい」と命じるだけでは不十分です。どの行為が相手を傷つけたのかを理解させたうえで、本人の言葉による謝罪につなげる必要があります。
7.被害者側を責める発言を制止する
加害者側から、次のような発言が出ることがあります。
- 被害児童生徒にも原因がある
- 大げさに騒いでいる
- 昔から気に入らなかった
- 言い返したのだから同じである
- 学校へ相談したことで自分の子どもが傷ついた
- こちらこそ被害者である
先生は、このような発言を無制限に続けさせてはいけません。被害者側に対する責任転嫁や攻撃になっている場合には、発言を制止し、確認された行為と再発防止の話に戻す必要があります。
8.安易に「お互いに謝りましょう」とまとめない
話し合いを早く終わらせるため、先生が双方に謝罪を求め、「これで仲直りということにしましょう」とまとめることがあります。
しかし、継続的ないじめと、それに対する被害児童生徒の抵抗や言い返しを同列に扱うことは適切ではありません。
双方に問題となる行為が確認されている場合には、それぞれの行為を個別に評価しなければなりません。「双方に反省点がある」という結論を先に決め、いじめの責任を曖昧にしてはいけません。
9.再発防止策を具体的に提示する
話し合いでは、過去の事実確認だけでなく、今後の安全確保について具体的に確認する必要があります。
- 加害児童生徒に対して、どのような指導を行うか
- 被害児童生徒への接触をどの範囲で制限するか
- 座席、班、クラス、部活動などをどのように調整するか
- 休み時間、登下校、部活動中の見守りを誰が行うか
- インターネットやSNS上の接触をどのように防止するか
- 保護者への経過報告をいつ、誰が行うか
- 再発した場合に、誰へどの方法で連絡するか
「今後注意して見守ります」という抽象的な説明だけではなく、担当者、実施期間、確認方法を明らかにすることが重要です。
10.発言内容と合意事項を記録する
学校は、話し合いの日時、出席者、双方の発言、学校の説明、確認された事実、合意事項及び今後の対応を記録する必要があります。
記録を残さなければ、後日、「そのような約束はしていない」「学校から説明を受けていない」といった問題が生じる可能性があります。
重要な合意事項については、学校が議事録や確認書を作成し、双方の保護者に内容を確認してもらう方法が望ましいでしょう。
話し合いの場で先生がしてはいけない対応
保護者間の話し合いを開催しても、先生の進行が不適切であれば、被害者側をさらに傷つけ、保護者間の対立を深める結果となります。
保護者同士の言い争いを止めず、学校が進行や整理を放棄してはいけません。
「双方の行き違い」などの表現だけで、確認された行為を隠してはいけません。
根拠なく双方に謝罪させ、いじめの責任を均等化してはいけません。
形式的な謝罪だけで、再発防止策を決めずに終了してはいけません。
組織的対応に必要な情報まで、担任だけで抱え込んではいけません。
クラス替えや転校など、被害者側だけに負担を負わせてはいけません。
- 「子ども同士ではよくあることです」
- 「どちらにも原因があります」
- 「加害者にも将来があります」
- 「これ以上問題を大きくしないでください」
- 「謝ったので、これで終わりにしてください」
- 「同じクラスなのだから仲良くしてください」
保護者間の話し合いを実施する手順
- 被害者側の要望を確認する
誰との話し合いを希望するのか、何を伝えたいのか、謝罪、事実確認、再発防止など、求める内容を具体的に確認します。
- 被害児童生徒本人の意向を確認する
本人が対面を望んでいるか、保護者のみの出席を希望するか、加害児童生徒との接触に不安がないかを確認します。
- 学校いじめ対策組織で協議する
担任だけで判断せず、校長、教頭、生徒指導担当、養護教諭、スクールカウンセラーなどを含む組織で実施方法を検討します。
- 事実関係を整理する
確認済みの事実、双方の主張が一致しない事項、学校が行った対応、被害への影響を文書に整理します。
- 加害者側へ趣旨を説明する
責任追及だけを目的とする場ではなく、事実共有と再発防止を目的とすることを事前に伝えます。
- 司会者と記録担当者を決める
原則として管理職又は生徒指導担当者が進行し、別の教職員が発言内容と合意事項を記録します。
- 話し合いを実施する
目的確認、学校からの事実説明、被害者側の発言、加害者側の回答、謝罪、再発防止策の順に進行します。
- 合意事項を書面化する
学校の見守り方法、加害者側の指導、接触に関する約束、経過報告の時期などを明確にします。
- 継続的に経過を確認する
話し合いを開催しただけで解決とせず、少なくとも一定期間は被害児童生徒の状況と再発の有無を確認します。
加害者側が話し合いを拒否した場合
加害児童生徒の保護者が、被害者側との話し合いを拒否する場合があります。保護者間の面談を強制する直接的な法律上の規定はないため、学校が強制的に出席させることは困難です。
しかし、加害者側が話し合いを拒否したことを理由に、学校がいじめ対応そのものを終了することはできません。
学校は、加害者側保護者と個別に面談し、確認された事実、被害の状況、加害児童生徒に必要な指導及び家庭で求められる対応を説明する必要があります。
そのうえで、被害者側には、加害者側が話し合いを拒否した事実だけを伝えるのではなく、学校としてどのような指導と再発防止措置を行うのかを具体的に説明すべきです。
- 加害児童生徒への個別指導
- 加害者側保護者への継続的な助言
- 被害児童生徒との接触制限
- 教職員による見守り
- 座席、班、部活動等の調整
- 教育委員会への報告と支援要請
- 必要に応じた警察、児童相談所等との連携
「加害者側保護者から、現時点では直接の話し合いには応じられないとの回答がありました。ただし、学校として対応を終了するものではありません。確認された行為について指導を継続し、接触防止と見守りを実施します。○週間後に経過をご報告します。」
話し合い後に学校が行うべきこと
保護者間の話し合いを行い、加害者側から謝罪があったとしても、それだけでいじめが解消したことにはなりません。
文部科学省の基本方針では、いじめが解消している状態について、少なくとも、いじめに係る行為が相当期間止んでいることと、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないことの両方を満たす必要があるとされています。
継続的な見守り
教員は、教室内だけでなく、休み時間、登下校、部活動、委員会活動、SNS上の関係などについても、再発の兆候がないか確認する必要があります。
被害児童生徒への確認
「その後、何も言われていないか」「学校で不安を感じる場面はないか」「先生にしてほしいことはないか」など、本人が話しやすい方法で定期的に確認します。
加害児童生徒の前や他の児童生徒がいる場所で確認すると、本人が本当の状況を話せないことがあるため、面談場所にも配慮が必要です。
保護者への経過報告
学校は、被害者側から問い合わせがあるまで放置するのではなく、あらかじめ定めた時期に、見守りの状況、加害児童生徒への指導状況、再発の有無などを報告することが望まれます。
加害児童生徒への継続指導
一度謝罪させるだけではなく、なぜその行為が相手を傷つけたのか、集団内でどのような影響を与えたのか、今後どのように行動すべきかを継続して指導します。
文部科学省の事例資料でも、加害児童生徒について、保護者を交えた面談を行い、内省を促し、いじめが繰り返されないよう指導する取組が示されています。
被害者側が学校へ伝える際のポイント
被害者側の保護者が加害者側との話し合いを希望する場合には、「会わせてください」とだけ伝えるのではなく、話し合いの目的と希望する条件を文書で示す方法が有効です。
- 学校が確認した事実を双方に説明してほしい
- 加害者側が認めている事実について謝罪を求めたい
- 再発防止策を双方の保護者がいる場で確認したい
- 校長又は教頭に同席してほしい
- 担任以外に記録担当者を配置してほしい
- 被害児童生徒本人は同席させないでほしい
- 話し合いの内容を議事録として残してほしい
- 話し合い後の見守り方法と報告時期を決めてほしい
「当方は、学校が確認したいじめ行為について加害児童生徒の保護者にも正確に認識していただき、再発防止策を確認するため、学校同席のもとで話し合いの場を設けていただくことを希望します。実施が困難である場合には、その具体的な理由と、これに代わる対応をご説明ください。」
話し合いを設定しないことが直ちに違法とは限らない
学校が保護者間の話し合いを設定しなかったからといって、その事実だけで直ちにいじめ防止対策推進法違反や違法な対応になるとは限りません。
問題となるのは、話し合いを設定したかどうかだけではなく、学校が被害者側の要望を適切に検討したか、十分な事実確認を行ったか、加害者側へ指導や助言を行ったか、被害児童生徒の安全確保と再発防止措置を講じたかという点です。
学校が合理的な理由なく話し合いを拒否し、加害者側への説明や指導も行わず、被害者側に具体的な対応方針を示さない場合には、法律が求める適切かつ迅速な対処や、被害児童生徒への支援が十分に行われていない可能性があります。
反対に、被害児童生徒の安全上の理由から直接の面談を実施しない場合でも、学校が個別面談、書面による説明、教育委員会を介した調整などの代替措置を講じているのであれば、適切な対応と評価される余地があります。
よくある質問
学校には保護者同士を会わせる義務がありますか
いじめ防止対策推進法には、被害者側が希望した場合に必ず保護者間面談を実施するという直接的な規定はありません。ただし、学校には、被害者への支援、加害者への指導、加害者側保護者への助言及び関係者との連携が求められています。安全に実施できる場合には、被害者側の要望を踏まえて話し合いを検討することが望まれます。
加害者側の保護者には話し合いへ参加する義務がありますか
直接面談への参加を強制する規定はありません。一方、保護者には、学校が講じるいじめ防止等の措置に協力する努力義務があります。面談に参加しない場合でも、学校からの説明を受け、家庭で必要な指導を行うことが求められます。
加害者側が謝罪を拒否した場合はどうなりますか
学校が謝罪そのものを法的に強制することは困難です。ただし、確認された行為について責任を理解させ、被害者の苦痛を認識させる指導は必要です。謝罪がなくても、学校は安全確保と再発防止措置を継続しなければなりません。
被害を受けた子ども本人も出席させるべきですか
本人の出席を当然の前提にしてはいけません。加害児童生徒との対面が負担になる場合には、保護者のみで話し合いを行うべきです。本人の安全と意向を最優先に判断します。
先生が話し合いの場で何も発言しないのは問題ですか
学校が主催又は同席する話し合いであれば、教員には事実の説明、進行、被害者側への攻撃的発言の制止、再発防止策の提示、合意事項の記録などが求められます。単に保護者同士の話を聞くだけでは、学校として十分な役割を果たしたとはいえない場合があります。
話し合いで双方に謝罪させるのは適切ですか
双方に具体的な問題行為が確認されている場合には、それぞれの行為について謝罪を検討することがあります。しかし、いじめと被害者の抵抗を同列に扱い、形式的に双方へ謝罪させることは適切ではありません。
話し合いを録音してもよいですか
後日の認識相違を防ぐため、記録を残すことには意味があります。無用なトラブルを避けるため、可能であれば事前に録音の可否を確認し、学校にも議事録を作成するよう求めることが考えられます。
話し合いをしてもいじめが続いた場合はどうすればよいですか
学校に再発の事実を日時、場所、行為内容とともに伝え、従前の再発防止策が機能しなかった理由と、新たな措置を文書で回答するよう求めます。学校だけで改善しない場合には、教育委員会、学校法人、警察、児童相談所などへの相談も検討します。
まとめ
いじめを受けた児童生徒の保護者が加害児童生徒の保護者との話し合いを希望した場合、学校はその要望を一律に拒否するのではなく、被害児童生徒の安全と意向を最優先に、実施の可否を具体的に検討すべきです。
保護者間の話し合いを設定すること自体は、いじめ防止対策推進法に直接規定された絶対的義務ではありません。しかし、学校には、被害児童生徒への支援、加害児童生徒への指導、加害者側保護者への助言、関係者との連携及び再発防止を行う責務があります。
また、保護者には、学校が講じるいじめ防止等の措置に協力する努力義務があります。加害者側保護者も、子どもの行為について学校から説明を受け、家庭で必要な指導を行い、再発防止に協力することが求められます。
話し合いの場では、先生は傍観者になるのではなく、学校が確認した事実を明確に説明し、被害者側の話を聴き、責任転嫁や攻撃的な発言を制止し、認められた行為について謝罪を促し、具体的な再発防止策を示す必要があります。
話し合いの開催そのものを解決と考えるのではなく、その後も被害児童生徒が安心して学校生活を送れているかを確認し、学校が継続して見守りと指導を行うことが重要です。
いじめに関する要望書・経緯書の作成
学校に話し合いの実施、事実関係の説明、謝罪の働きかけ、再発防止措置などを求める場合には、要望事項を具体的に整理した書面を提出する方法があります。
お問い合わせ
- いじめ経緯書
- 学校への要望書
- 教育委員会への申入れ
- 保護者面談の要請
- 再発防止措置
※個別の事案では、児童生徒の安全、いじめの内容、学校の調査状況及び保護者間の関係を踏まえて対応を検討する必要があります。




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